○今日の読書

・「しゃばけ」(新潮文庫)(ネタバレ注意!)
作者:畠中恵
採点:7.5
内容:江戸有数の廻船問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに。若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う…。愉快で不思議な大江戸人情推理帖。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。
感想:「しゃばけ」とは俗世間における、名誉、利得などの様々な欲望にとらわれる心、らしい。本編にも十分関わりのある言葉であり、やはりそのような心はできるだけ捨てないといけませんよね。難しいですが。さて、本作品は第一回日本ファンタジーノベル大賞入選作であるらしい。しかし、この小説はファンタジーであるかもしれぬが、ミステリーでもあり時代物のような雰囲気もある。本のジャンルの定義がいかに難しいかが分かりますね、特別ジャンル分けする必要性はないですが。謎自体は軽く、謎の解決に重きを置いた作品ではない。むしろ、その謎を解決するまでの過程を楽しむ作品だ。主人公・一太郎とその周りで一太郎を過保護なまでに世話する妖怪たちとの掛け合いや、そのキャラクターはコミカルで読んでいて楽しい。そして一太郎も体が弱いながらも、精神的にしっかりとした大人に成長している姿が頼もしい。個人的には子鬼の妖怪・家鳴が好きだ、小さくて可愛らしい。