○今日の読書

・「孔雀狂想曲」(集英社文庫
作者:北森鴻
採点:9
内容:東京は下北沢の片隅にある骨董品屋・雅蘭堂。店主の越名集冶は実は相当の目利きなのだが、商売はそれほど上手くない。おかげでいつも開店休業状態。それでも、ひとたび人々の記憶や思いのこもった骨董品をめぐって事件が起きると、抜群の鑑定眼と推理力で謎に挑む。ベトナムジッポー、鉱物標本の孔雀石、江戸切子―様々なモノと謎が今日も雅蘭堂を訪れる・・・。傑作ミステリ連作集。
感想:北森さんの作品を読むのはこれが始めて。感想としては自分の好みと非常にマッチ!舞台が骨董品屋と独特の世界で、この世界がいい空気を醸し出している。探偵の見る目と異なり骨董品屋の店主というのはまた違った観点で非常に見る目があると思える。当作品は「ベトナム ジッポー・1967」「ジャンクカメラ・キッズ」「古九谷焼幻化」「孔雀狂想曲」「キリコ・キリコ」「幻・風景」「根付け供養」「人形転生」の全8編からなる短編集。それぞれに含蓄があり、単純なミステリーとは異なった謎解きが非常に魅力的で面白い。登場人物もいい味出している。ただ万引き未遂少女の女子高校生・安積ちゃんをどうして雇ったのかがあまりわからなかった。越名さんはものを見る目だけでなく、人を見る目もありそうだが果たして・・・。