○今日の読書

・「マレー鉄道の謎」(講談社文庫)(ネタバレ注意!)
作者:有栖川有栖
採点:6.5
内容:旧友・大龍の招きでマレーの楽園、キャメロン・ハイランドを訪れた火村と有栖川。二人を迎えたのは、舞い飛ぶ蝶ならぬ「殺人の連鎖」だった。ドアや窓に内側から目張りをされた密室での犯行の嫌疑は大龍に。帰国までの数日で、火村は友人を救えるか。第56回日本推理作家協会賞に輝く、国名シリーズ第6弾。
感想:火村先生を探偵役とするお馴染みの国名シリーズ。国名シリーズというシリーズ物だけに、その題名に深い意味を求めてはいけない。舞台がマレーシアであることに意味はないし、「鉄道」とあっても鉄道ミステリーではないのです。しかし、内容自体は密室あり、ダイイングメッセージありのなかなかの本格物。本格物を読むのは久しぶりで、いつもは推理を自分で色々組み立てながら読んだりするのだが、今回はそういった事すらあまりに久しぶりすぎてし忘れていた。密室のトリックは扉や窓の隙間という隙間をガムテープで軽く貼り、車をジャッキで持ち上げることにより密室を完成させるものだが、果たしてそんなにうまくいくものなのだろうか。しかし、全体的な構成として非常にうまくできているあたりはさすが有栖川有栖である。
舞台がマレーシアという事は、そこに登場する人物たちもマレーシアの人達が多く、皆英語を話す。本作では、火村もアリスも共に英語を話すという設定になっているが、そうだとすると火村の英語力は相当なものである。ここにまた火村の別の能力を垣間見る。途中途中アリスのリスニング能力が限界を感じさせる証拠として「(聞き取り不能)」等の表記が見られるのが、ちょっと笑えます。